『Consumer Trends Report_2023』(WTTC)

World Travel and Tourism Council(WTTC)が2023年の消費者トレンドについてのレポートをリリースしました。

レポート内の”サステナブルツーリズム”について言及されている箇所を要約すると以下の通りです。

持続可能性は、旅行計画の重要な要素の 1 つと捉えられており、旅行者は、二酸化炭素排出量を削減し、持続可能な観光を推進したいと考えています。

WTTC の Environmental and Social Research (ESR) によると、2019 年には、世界全体の温室効果ガスの 8.1% を旅行と観光が占めました。旅行・観光業界は削減の取り組みを強化しており、2022 年 10 月、ICAO(国際民間航空機関)のメンバーは、2050 年までに航空部門でネットゼロ実現を追求することに合意しました。

Trip.com の調査では、二酸化炭素排出量の削減に対する旅行者の強いコミットメントが報告されています。
・半数以上 (59%) は近年、何らかの形の持続可能な旅行を選択しており、
・旅行者の 69% は積極的に (常にまたは時々) 持続可能な旅行の選択肢を探しており、
・4 分の 3 (75%) は持続可能な旅行の選択肢を選びたいと述べ、
・半数以上 (59%) は、二酸化炭素排出量を相殺するための課金を既にしているか、
 価格が適切であれば課金する意思がある
と述べています。

法人旅行者の間でもその傾向が強まっており、Trip.Biz の調査では、ビジネス旅行者の53% が、旅行中により持続可能な行動をとるよう意識的に努力したと述べています。ホテルでの水の使用量を減らすことから、歯ブラシなどを持参することまで多岐にわたりました。

2022 年 6 月以来、Trip.com は、世界的な気候テクノロジー企業である CHOOOSE と協力して、フライトを予約する際にカーボンオフセットのオプションを消費者に提供してきたところ、通常航空運賃に 4.7% が追加されるものの、その利用率は毎月平均 33% で増加しており、そのほとんど (85%) が国際線を予約する消費者によるものでした。 また、排出量の相殺を支援することを選択した人の半数以上 (51%) は、英国、ドイツ、および米国に在住者でした。

持続可能性は気候だけの問題ではなく、旅行はコミュニティにも影響を与えます。今日、より多くの人々が旅行の際に地元産の製品を購入することを選択し、地域経済を支援する活動を含む旅行日程を積極的に計画しています。最近の YouGov の調査では、回答者のほぼ半数 (48%) が、地域社会をサポートし、地球を保護する強力な持続可能性ポリシーを持つ旅行会社を選ぶことが重要であると述べています。

出所:https://wttc.org/consumer-trends

レポートからは、旅行者は商品やサービスの価格に対して5%程度の上乗せならカーボンオフセットに取り組む意思があると考えることができます。

フライトによるCO2排出量は非常に多く、観光・旅行セクターの排出量全体のうちかなりの割合を占めており、対策が必要な部門ですが、今後はフライトだけではなく、宿泊や体験、食事等あらゆる消費活動においてオフセットができるオプションを用意しないとネットゼロは実現できないでしょう。

オフセットへの資金の流れについても透明性を高めていき、日本においてもカーボンオフセットの流れが企業だけでなく個人にも普及させていく必要があると考えています。