COP27-「本日の化石賞」トップバッターでありながらGRiFへの拠出を検討する日本

エジプトで開かれている第27回国連気候変動枠組条約締約国会議(COP27)で、COP25、COP26 に続いて、またしても日本が「本日の化石賞」を受賞しました。
Climate Action Network Japan (CAN-Japan)のプレスリリースによると、今回の受賞は、

「アメリカのNGOであるOil Change Internationalが発表した最新のレポートによって、日本が化石燃料に対する世界最大の公的支援をしていることが明らかになったことに対して、世界の市民社会が厳しい評価を下したものである。化石燃料への投資は1.5°C目標の達成を阻むという国際的な認識にもかかわらず、日本は2030年以降もアンモニア混焼など石炭火力の延命ともいえる誤った解決策を他国に輸出しようとしていることに対して、世界のNGOから批判が集まった。

出所:https://www.can-japan.org/press-release-ja/3439

とのことでした。

日本国内の対応に追われて岸田首相がCOP27に不参加となったのも、批判の矛先が真っ先に向く一因となったのでしょう。

一方で、COP27閣僚級セッションに参加した西村環境大臣からは下記のような発言がありました。

○ 日本は、台風をはじめとする自然災害の脅威を経験しています。途上国の関心が高い、適応やロス&ダメージへの支援強化の必要性を肌で理解しています。日本は、これまでもこの分野での支援を実施してきましたが、本日、技術的支援等を包括的に提供し、最大限の効果を発揮させることを目的とした「ロス&ダメージ支援パッケージ」を実施していくことを表明します。本パッケージでは、アジア太平洋地域における官民連携による早期警戒システム導入促進イニシアティブを新たに追加的に立ち上げます。加えて、世界銀行が運営するグローバル・リスク・ファイナンシング・ファシリティに初めて拠出し、ロス&ダメージへの支援を強化することを検討しています。

出所:https://www.env.go.jp/annai/kaiken/kaiken_00055.html

このグローバル・リスク・ファイナンシング・ファシリティ(GRiF)は、開発途上国が気候変動による損害や災害危機が及ぼす経済的な被害から、より迅速な回復を支援するために、助成金と技術的専門知識を提供する機関です。

出所:https://www.globalriskfinancing.org/sites/default/files/2020-01/GRiF_brochure.pdf

現状、図の【01 DONOR COUNTRIES】には、ドイツと英国が名を連ねていますが、日本もここに加わることを検討しているようです。

化石大賞を受賞する一方で、開発途上国の気候変動に対するダメージに積極的な財政支援をする。

この矛盾を国際社会がどう評価するでしょうか。
世界の温暖化対策における日本の存在感がこれ以上薄くならないためにも、国としての政策や方向性を明確にしていく必要があると考えています。